相続放棄の手続きの流れ|デメリットはある?
■相続放棄とは?
「相続放棄」とは、被相続人(亡くなられた方)の遺産や借金を相続する権利を放棄することをいいます。相続財産には、不動産や有価証券、貯金等だけでなく、被相続人が負っていた借金や負債、責任なども含まれるため、被相続人の借金や負債が遺産の金額を上回る場合などに、相続放棄が行われます。相続放棄を行った人は最初から相続人ではなかったものとして扱われ、それ以外の相続人により財産が分配されることになります。
もっとも、相続放棄には期限があり、その期限を過ぎてしまうと、特別な事情や期限延長の申し立てがあった場合を除いて、被相続人から相続した借金を相続人が返済しなければなりません。また、単に相続放棄をするという意思表示を行うのみでは、相続放棄は認められません。相続放棄を行うには、被相続人の住所を管轄する家庭裁判所に申立てをする必要があります。
■相続放棄の手続き
相続放棄の手続きの大まかな流れは以下になります。
①相続放棄をするか否かを検討する。
②必要書類を用意する。
③相続放棄申述書の作成をする。
④裁判所へ提出し、相続放棄を申し立てる。
⑤照会書への回答をする。
⑥相続放棄申述受理通知書が届く。
●必要書類
相続放棄の手続きに必要な書類の一覧は以下になります。
①相続放棄申述書
②被相続人の住民票除票または戸籍附票
③申述人の戸籍謄本
④収入印紙(800円)
⑤切手(84円を5枚程度ですが申述先の家庭裁判所に確認が必要です。)
⑥被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
⑦被代襲者(配偶者または子)の死亡記載のある戸籍謄本
⑧被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
⑨配偶者(または子)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
⑩被相続人の親の死亡記載のある戸籍謄本
⑪兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍謄本
もっとも、上記の書類のうち、必要なものは申述人によって異なります。
申述人が被相続人の配偶者の場合は①~⑥、被相続人の子または孫の場合は①~⑦(⑦は孫の場合)、被相続人の父母または祖父母の場合は①~⑤、⑧~⑩(⑩は祖父母の場合)、被相続人の兄弟姉妹または甥姪の場合は①~⑤、⑧~⑪(⑪は甥姪の場合)となります。
●申述方法
相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てて行います。申し立てとしては、家庭裁判所へ直接出向くか、郵便で送付して行う2つの方法があります。
●期限
相続放棄の手続きは、相続の開始があったことを知った日(=被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から3か月以内(すなわち亡くなった日の3か月後の同じ日まで)に行う必要があります。具体的には、上記手続きの流れのうち、①~④の手続きを相続の開始から3か月以内に行う必要があります。
この期間を過ぎてしまうと、特別な事情や期限延長の申し立てがあった場合を除いて、被相続人から相続した借金を相続人が返済しなければならず、また、期限も相続関連の手続きの中で最も短いため、注意が必要です。
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- 中小企業認定支援機関(中小企業経営力強化支援法における経営革新等支援機関)
経歴
- 1994.03 青山学院大学法学部卒業
- 2002.10 弁護士登録(第一東京弁護士会)
- 2002.10〜2004.05 津山法律事務所
- 2004.09〜2006.01 弁護士法人渋谷シビック法律事務所
- 2006.02〜2021.08 虎ノ門協同法律事務所
- 2021.08 パークス法律事務所設立
著書・論文
- 「ネットオークションに関する法的問題」共著:第一東京弁護士会司法研究委員会電子商取引研究班
- 家族に関する法律相談(49) 戸籍時報2014年7月号「婚姻費用における住宅ローン支払い分の控除について」
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