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パワハラ防止法とは?企業がするべき対応や罰則の有無など

職場でのパワーハラスメントは、労働者の能力発揮の妨げになるだけでなく、個人の人格を不当に傷つける許されない行為です。

行政に寄せられた問題のうち、パワハラに関するものは圧倒的に多くなっています。

2020年に厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年以内にパワーハラスメントを受けたことがあると回答した人は31.4%にものぼります。

また、厚生労働省が公表した「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」においては、個別労働紛争の相談件数は、86,034件(前年度比8.6%増)で、10年連続最多と年々増加傾向にあります。

本稿では、パワーハラスメントについて企業がするべき対応や罰則の有無等について解説していきます。

パワハラ防止法について

実は、「パワハラ防止法」という名前の法律はありません。

労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(略称「労働政策総合推進法」)の第9章がパワハラについて規定されているので、その部分が「パワハラ防止法」と呼ばれているものに当たります。

2019年に労働政策総合推進法が改正されて、20224月から、大企業だけでなく、中小企業を含め全企業において、職場におけるパワーハラスメント防止対策が義務付けられました。

企業がするべき対応

まず、パワハラの定義を明らかにする必要があります。

労働政策総合推進法第30条の2第1項によりますと、パワハラは下記3つの要件を全て満たす必要があります。

すなわち、①職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であること、②業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であること、③その言動によって労働者の雇用環境が害されることという3つの要件です。

そして、労働政策総合推進法には、労働者の相談に対応する体制を講じなさい、のような抽象的な義務内容しか定めていないので、パワハラ防止体制をどう構築すべきかが問題になります。

ここで、考えられる体制としては、

①パワハラ対策セミナーなどを会社のスタッフ向けに開催すること、

②パワハラ相談窓口を作ること、

③パワハラ相談があった時に対応すること などが考えられます。

罰則の有無

前述のように、パワハラ対策は義務化されました。

ここで、義務違反のときどうなるかが問題となります。

一言でいうと、労働政策総合推進法には罰則規定が存在しません。

しかし、罰則がないからといって、義務を無視することはできません。

義務を履行しない場合、厚生労働大臣から指導、勧告ないし勧告を従わない旨の公表があります。

特に、「公表」については会社の社会的評価に悪影響を与えかねないので、各企業はパワハラ防止対策を構築する必要があるといえます。

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弁護士 鈴木 一
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所属団体

  • 第一東京弁護士会(登録番号:30086)
  • 第一東京弁護士会 司法研究委員会 電子商取引研究班
  • 第一東京弁護士会 法律相談運営委員会 医療部会
  • 元公益財団法人交通事故相談センター相談員
  • 中小企業認定支援機関(中小企業経営力強化支援法における経営革新等支援機関)

経歴

  • 1994.03 青山学院大学法学部卒業
  • 2002.10 弁護士登録(第一東京弁護士会)
  • 2002.10〜2004.05 津山法律事務所
  • 2004.09〜2006.01 弁護士法人渋谷シビック法律事務所
  • 2006.02〜2021.08 虎ノ門協同法律事務所
  • 2021.08 パークス法律事務所設立

著書・論文

  • 「ネットオークションに関する法的問題」共著:第一東京弁護士会司法研究委員会電子商取引研究班
  • 家族に関する法律相談(49) 戸籍時報2014年7月号「婚姻費用における住宅ローン支払い分の控除について」

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