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2026年施行予定の共同親権|メリット・デメリットを解説

2026年から、日本でも「共同親権制度」が導入される予定です。

現行の法律では、離婚後の親権は「単独親権」が原則であり、父母のどちらか一方しか持つことができません。

しかし新制度では、離婚後も父母双方が親権を持ち続ける「共同親権」を選択できるようになります。

今回は、共同親権のメリット・デメリットを解説します。

共同親権のメリット

共同親権のメリットは、以下の3つです。

 

  • 子どもが両親から継続的に関わりを受けられる
  • 親権を得ることで財産管理や法律行為の代理が行いやすくなる
  • 養育費や教育費の負担が公平になりやすい

 

それぞれ確認していきましょう。

子どもが両親から継続的に関わりを受けられる

大きなメリットは、子どもが両親から継続的に関わりを受けられる点です。

一方の親だけでの子育てよりも、精神的な安心感につながる可能性があります。

親権を得ることで財産管理や法律行為の代理が行いやすくなる

単独親権のもとでは、親権を持たない親には財産管理権や法律行為に関する代理権・同意権が与えられず、監護や教育の場面で十分に関与できません。

共同親権では、双方に親権(監護権を含む)が認められるため、子どもの財産管理や教育・医療などに必要な法律行為を両親がそれぞれ行えるようになります。

養育費や教育費の負担が公平になりやすい

単独親権の場合は、実際に子どもを養育する親に大きな負担がのしかかるケースもありました。

共同親権であれば、双方が法的に責任を持つため、金銭的な協力を求めやすくなる点が期待されています。

また、民法改正により新設された「子の監護に要する費用の分担に関する特例(民法766条の3)」によって、養育費の分担がより実現されやすくなりました。

親同士の取り決めがない場合でも、家庭裁判所が必要な費用の分担を定められる仕組みが整えられています。

共同親権のデメリット

一方で、共同親権にはデメリットも存在します。

父母の意見対立が子どもの生活に影響するリスクがある

代表的なのは、父母の意見対立が子どもの生活に影響するリスクです。

教育方針や医療、進学といった重要な選択で意見が割れた場合、決定が長引き、子どもの生活や成長に悪影響を及ぼす可能性があります。

DVや虐待があるケースでは深刻な事態になりやすい

さらに深刻なのは、DVや虐待があるケースです。

加害を行った親であっても共同親権を持つことになれば、被害者側の親や子どもが安心して暮らすのが難しくなります。

安全確保よりも「形式的な両親の関与」が優先されてしまうのではないか、という懸念が強く指摘されています。

実務面での負担がある

また、実務面での負担も無視できません。

学校の手続や財産管理などで両親の同意が必要になる場面が増えるため、事務処理が複雑化するのが予想されます。

結果的に、子どもや親にとって余計な手間・ストレスが増える可能性があります。

まとめ

共同親権は、さまざまな利点をもたらす一方で、家庭内の対立や安全面への不安といった課題も抱えています。

実際の運用を通じて、子どもの利益をどう守るかが問われることになるでしょう。

今後制度が施行されるにあたり、親としてどのような選択をすべきか迷う方も増えるはずです。

その際は、法律の専門家である弁護士に相談し、正しいアドバイスを得ながら最適な対応を検討するのが大切になります。

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弁護士 鈴木 一
弁護士鈴木 一

丁寧にお話を伺うことを大切に、なんでも話せる相談相手として、幅広い事案に対応しています。

一般民事事件(事故による損害賠償案件、不動産関係、金銭貸借問題、遺産相続案件、家事事件、医療過誤等)、倒産処理(破産手続、民事再生手続等)、 企業法務(企業運営上の法律相談、契約書作成、紛争における交渉等)など幅広く業務を行っております。 常に新しい視点に立って、よりよい紛争解決を成し遂げることを目標としております。

所属団体

  • 第一東京弁護士会(登録番号:30086)
  • 第一東京弁護士会 司法研究委員会 電子商取引研究班
  • 第一東京弁護士会 法律相談運営委員会 医療部会
  • 元公益財団法人交通事故相談センター相談員
  • 中小企業認定支援機関(中小企業経営力強化支援法における経営革新等支援機関)

経歴

  • 1994.03 青山学院大学法学部卒業
  • 2002.10 弁護士登録(第一東京弁護士会)
  • 2002.10〜2004.05 津山法律事務所
  • 2004.09〜2006.01 弁護士法人渋谷シビック法律事務所
  • 2006.02〜2021.08 虎ノ門協同法律事務所
  • 2021.08 パークス法律事務所設立

著書・論文

  • 「ネットオークションに関する法的問題」共著:第一東京弁護士会司法研究委員会電子商取引研究班
  • 家族に関する法律相談(49) 戸籍時報2014年7月号「婚姻費用における住宅ローン支払い分の控除について」

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